禁煙外来について

禁煙外来は、喫煙習慣を止めたい人を対象に設けられた外来です。当院では内科診療の受付時間内で相談を承ります。
当院では、医師が患者様の喫煙歴をきちんと把握した上で、禁煙補助薬を処方し、治療の経過を見守りながら適宜アドバイスをします。離脱症状が起こった際も、診察時に医師に相談できるので、禁煙を継続しやすくなります。
また、一定の条件を満たせば、健康保険を使った禁煙治療が受けられます。

禁煙のメリット

  • 健康面:肺がん、心筋梗塞、脳卒中、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などのリスクが低下します
  • 経済面:1日1箱(600円)の場合、年間約22万円の節約になります
  • 美容面:肌の調子が良くなり、口臭や体臭が改善します
  • 周囲への配慮:家族や周囲の方への受動喫煙の影響がなくなります

保険適用について

次の条件を満たす方は保険での禁煙治療が可能です。

  • ニコチン依存についてのスクリーニングテスト(TDS)の結果が5点以上で、ニコチン依存症と診断
  • ブリンクマン指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が200以上 
    ※ ただし35歳未満の方はこの項目が除外されます。
  • 直ちに禁煙することを希望
  • 禁煙治療について説明を受け、その禁煙治療を受けることを文書により同意
  • 1年以内に保険診療での禁煙治療を受けたことがない方
  • 保険適用の条件を満たさない方も、自費診療で治療を受けることができます。
  • 保険適用で治療を開始したものの、途中で来院しなくなった場合、次回の保険適用は前回の初回診察日から1年経過後となります。

ニコチン依存度テスト(TDS)

以下の10項目について「はい」を1点、「いいえ」を0点として計算してください。
合計5点以上でニコチン依存症と診断されます。

問1 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか?
問2 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか?
問3 禁煙や本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか?
問4 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、次のどれかがありましたか?
(イライラ、神経質、落ちつかない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加)
問5 問4でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか?
問6 重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか?
問7 タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか?
問8 タバコのために自分に精神的問題(※)が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか?
問9 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか?
問10 タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか?

※注 禁煙や本数を減らした時に出現する離脱症状(いわゆる禁断症状)ではなく、喫煙することによって神経質になったり、不安や抑うつなどの症状が出現している状態。

禁煙治療の流れ

保険で認められている通院回数は、初診を含めて計5回、期間は12週間(約3ヶ月)です。

【初回】初診

  • 治療法の説明
  • ニコチン依存度、喫煙の状況、禁煙の関心度などをチェック
  • 呼気中(吐き出す息)の一酸化炭素濃度の測定
  • 禁煙開始日の決定と「禁煙誓約書」へのサイン
  • 次回診療日の決定
  • 禁煙補助薬の処方

【2週間後】2回目(再診①)

  • 喫煙状況の問診
  • 呼気中の一酸化炭素濃度の測定
  • 禁煙補助薬の追加処方
  • 離脱症状への対処法のアドバイス

【4週間後】3回目(再診②)

  • 呼気中の一酸化炭素濃度の測定
  • 出現した離脱症状の確認や対処法などのカウンセリング
  • 禁煙補助薬の処方
  • 禁煙継続のためのコツの指導

【8週間後】4回目(再診③)

  • 呼気中の一酸化炭素濃度の測定
  • 出現した離脱症状の確認や対処法などのカウンセリング
  • 禁煙補助薬の処方
  • 再喫煙防止のための指導

【12週間後】5回目(再診④・最終診察)

  • 治療終了
  • 呼気中の一酸化炭素濃度の測定
  • 禁煙に成功していれば、そのまま禁煙を継続するためのコツを理解
  • 今後の注意点の確認

各診察でやること

  • 呼気中の一酸化炭素濃度測定:喫煙状況を客観的に確認
  • 体重測定:体重増加への対応
  • 禁煙状況の確認:吸いたい気持ちの強さなどを評価
  • カウンセリング:離脱症状への対処、再喫煙予防のアドバイス

使用する禁煙補助薬

当院では以下の禁煙補助薬を使用します。患者さんの状態に応じて医師が選択します。

ニコチンパッチ(貼付薬)

  • 使用方法:1日1回、皮膚に貼付
  • 特徴:ニコチンを皮膚から吸収させることで、離脱症状を軽減
  • メリット:1日1回の使用で良く、手軽
  • 注意点:皮膚のかぶれに注意、貼付部位を毎日変更

バレニクリン(内服薬・商品名:チャンピックス)

  • 使用方法:1日2回内服(段階的に増量)
  • 特徴:ニコチン受容体に作用し、喫煙による満足感を減らす
  • メリット:ニコチンを含まない、高い禁煙成功率
  • 注意点:吐き気などの副作用が出ることがある

主な副作用と対処法

ニコチンパッチ

  • 皮膚のかぶれ、かゆみ → 貼付部位を変更、必要に応じて薬剤変更
  • 不眠、悪夢 → 就寝前は剥がす

バレニクリン

  • 吐き気、嘔吐 → 食後に服用、症状が強い場合は医師に相談
  • 頭痛、不眠 → 症状が強い場合は医師に相談
  • 重大な副作用:意識障害、抑うつ気分、自殺念慮(まれ)

これらの症状が現れた場合は直ちに服用を中止し、受診してください

ニコチン離脱症状

  • イライラ、集中困難、不安、眠気、頭痛、便秘など
  • 多くは2~3週間で軽快します
  • 水分を多めに摂る、軽い運動をするなどで対処できます

禁煙成功のコツ

  • タバコを身近に置かない:自宅や職場からタバコ、灰皿、ライターを処分
  • 吸いたくなる場面を避ける:飲酒の場、喫煙者との付き合いなど
  • 代替行動を見つける:深呼吸、水を飲む、ガムを噛む、体を動かすなど
  • 周囲に宣言する:家族や友人に禁煙を宣言してサポートを得る
  • 吸いたい気持ちは数分で収まる:その場をやり過ごす工夫をする

よくある質問

1本だけ吸ってしまったら失敗ですか?
1本吸っただけで諦める必要はありません。再び禁煙を継続してください。ただし、保険診療の成功判断には影響する可能性があります。
体重が増えるのが心配です
禁煙により平均2~3kg体重が増加しますが、これは一時的なものです。過度な食事制限はせず、適度な運動を心がけましょう。
何度も禁煙に失敗しています。私には無理では?
禁煙は何度も挑戦することで成功率が上がります。医師のサポートを受けながら、諦めずに取り組みましょう。
電子タバコや加熱式タバコに変えるのはどうですか?
電子タバコや加熱式タバコに変えるのはどうですか?
これらにもニコチンが含まれており、依存は続きます。完全禁煙を目指しましょう。

禁煙後の体の変化

禁煙後の期間 体の変化
20分後 血圧と脈拍が正常化
8時間後 血中の一酸化炭素濃度が正常化
24時間後 心臓発作のリスクが減少し始める
2週間~3ヶ月後 心臓や血管の機能が改善
1~9ヶ月後 咳や息切れが改善
1年後 心臓病のリスクが喫煙者の半分に
5年後 脳卒中のリスクが非喫煙者と同等に
10年後 肺がんのリスクが喫煙者の半分に